大皿の素焼きのやり方   真竹のテッちゃんさん

陶芸歴、日の浅いものです。

 先日から大皿(直径30センチ超え)を二枚素焼きの過程でヒビが入りました。どのように温度管理すればよいか何方か教えてください。


Re:大皿の素焼きのやり方   わかなさん

えっとですね、同じ土を使っているのに、大皿は素焼きでヒビが入って、他の形のものはなんともない、というのは、実はよくあるトラブルなんです。あまり専門的にごちゃごちゃ言わないで説明してみますとですね、土には2酸化ケイ素というのが必ず含まれてまして、コレは化学式ではSiO2なんですが、ケイ素(Si)と酸素(O)のつながりかたによっていくつか種類があります。そのなかでわたしたち陶芸家にとって重要なのが「クリストバライト」というのと「石英」というふたつです。この石英は、言葉は同じですが、窯業原料の「石英」とはちがうものをさしています。「クリストバライト」とこの「石英」はどっちもSiO2なんですけど、結晶構造がちょっとちがうんです。このふたつはまとめて「遊離ケイ酸」とも呼ばれていまして、多かれ少なかれ、粘土や陶土にかならず含まれています。それでですね、コレがなんで重要かといいますと、焼成の途中でとつぜん膨張したり収縮したりするんです。クリストバライトは220度で、石英は573度でとつぜん膨張します。つまり素焼きの間にこの膨張が起こっているわけです。そしてさらに問題はですね、素焼き焼成のあと、窯の火を消して温度が下がっていって、573度に戻った時に、膨張状態にあった石英が、今度は異常に収縮するんです。クリストバライトも220度に戻った時に同じように収縮します。その大きな膨張と収縮に耐えない時に作品にヒビが入るんです。でもどうして皿だけ割れて、ほかのものは割れないのかと言うと、これもそのメカニズムは、ちょっと専門的すぎるので、かんたんに説明しますとね、壺のような球形やカップのような円筒形は構造的により強く、皿のような板ものは、要するに弱いんです。そこで多くの場合、皿ものにだけヒビがあらわれるんです。そこで、解決策ですが、いくつかありまして、3つ提案します。ひとつは使う陶土を変えることです。陶土によって、クリストバライトと石英の含有量がことなりますので、ほかの陶土をためしてみる、というワケですね。ついで、もしご自分で調合した陶土であれば(というケースは少ないかな?)、珪石の量を減らすんです。ふたつめのオプションは素焼きのやりかたをかえることです。まず220度と573度付近をゆっくり焚きます。でもさらに重要なことは、素焼き後の冷却をうんとゆっくりすることです。コレはバーナーを1ー2本くらい点火したままで、ゆっくり温度を下げていくということです。200度以下になるまでゆっくりやります。というのは、実は(説明は省きますが)陶器製品は、クリストバライトと石英が膨張する過熱中にはより耐えるんですが、それらが収縮する冷却にはずっと弱いんです。ですから、普通は(見て確かめる方法がありませんから、わかりにくいんですが)ヒビは焼成中にではなくて、焼成後の冷却中に生じていると考えていいんです。3つめの提案は、素焼きをせずに、乾燥した皿に釉薬を生掛けして、そのまま本焼き焼成することです。1200度を越すと、クリストバライトと石英の多くの部分は、ほかの原料ととけあってもうクリストバライトと石英そのままではなくなるので、冷却中の異常収縮を大幅に減らすことができるんです。もちろん窯出しは、200度を切ってから行ってください。以上です。


Re:大皿の素焼きのやり方   るりさん

横からすみません。

教えていただきたいのですが、素焼きした場合と素焼きせずにそのまま本焼き焼成した場合、どのような違いがでてきますか?
素焼きは絶対するものだと思っていたので、そのまま焼いたらどうなるのかよくわかりません。
もしよろしければ教えてください。

初歩的な質問であきれてしまうかもしれませんが・・・
よろしくお願いします。


Re:大皿の素焼きのやり方(横から一言)   FURUFURUSさん

私も横から一言。

素焼は必ずしなければいけないものではありません。
便宜上素焼をした方が釉薬を掛けやすい等というだけです。
素焼だと保存(ストック)しやすいというのもあります。
現在のように素焼をするようになったのは、明治以降だと思います。
それまではほとんど生掛けをしていたようです。

特に大物に生掛けするのはとても難しいですね。


Re:大皿の素焼きのやり方(横から一言)   るりさん


FURUFURUS様、レスありがとうございました。

そうですか。
釉薬がかけにくくても良いのであれば、
素焼きはしなくてもいいものなんですね。
小さいもの(例えば小鉢やカップ等)なら、
乾燥した状態に釉薬をかけて焼いていいのですね。

今度素焼きせずに焼いてみます。
どういう違いがあるのか試してみたいです。
今週末焼けるといいなあ。

参考までに教えていただきたいのですが、
今まで素焼きせずに焼いて、まずかったこと(素焼きした方がよかったなって思った事)ってありますか?
もしよければ教えて下さい。

ずうずうしくてすみません。
よろしくお願いします。


Re:大皿の素焼きのやり方(横から一言)   FURUFURUSさん

もし生掛けで焼くことができる環境にあるのであれば
一度やってみるのが一番良いと思います。
失敗するのも良い経験だと思います。

当然の事ですが、生掛けのものを焼く時の温度管理は
素焼のものを焼く時とは違います。
作り方が悪い時は、素焼だと焼成時に割れても他の器への被害は少ないけれど
生掛けの場合は、棚板にもかけらがくっついてしまいます。

乾燥した器にもう一度水分を与える訳なので、釉薬の水分をすばやく
飛ばさないと器はつぶれてしまいます。釉掛けも、もたもたしていると
乾燥しただけの器なので溶けてしまいます。

生掛けの方が、焼き味も出て良いと思います。(燃料費も安い)
一度やってみてください。


FURUFURUSさんありがとうございました!!   るりさん



なるほどなるほど。。

今週末にでも挑戦してみようと思います。

大変勉強になりました。
丁寧なご説明、本当にありがとうございました。


4つ目の提案を付け加えます   わかなさん

大皿の素焼きトラブルにかんして、付け加えます。どうして大皿だけが割れやすいかの説明と、それを回避するための3つの提案は、前のメールで説明した通りですが、4つ目の提案として、以下をお勧めします。どうしても素焼きしたい時は(3つ目の提案は素焼きしないことでしたね)、窯の中で皿を垂直に立てて置くんです。理由はつぎの通りです。高台がなくてべたっと底が棚板に接触する皿や板もの、あるいは高台があっても作品自体が大きくて重い皿ものは、前述したように「遊離ケイ酸」が膨張/収縮する時に、窯の棚板と大きなまさつを生じるんです。皿の方は動きたいのに、まさつがその動きをじゃまするわけですね。その結果(割れるメカニズムは前に説明した通りなんですけど、それに加えて)まさつが問題が顕現するのを促進してしまうんです。ですから、皿を垂直に置くことによって、棚板との接触面を少なくしてまさつを減少させると、結果として遊離ケイ酸による割れが顕現しないことがある、というわけです。丸い皿の場合は、窯土で小さい玉を2ケつくって、皿の棚板と接するところに置いて、皿の縁が欠けないようにします。代わりにセラミックファイバーやセラミックペーパーなんかも下に敷くといいです。でも、ま、コレは、前に述べました3つの提案からくらべると、補助的な方法ですけど。


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